双華の香
「えっ…」
驚いて声のした方を見上げると、薄暗くてはっきりとは見えないけれど
女の人が立っているのがわかった
「安心しろ、わたしは怪しい者ではない」
なんとなく気配で、その人が微笑んだのがわかる
わたしはほっと胸をなで下ろした
「心配してくれてありがとうございます
具合は悪くないので、大丈夫です」
「そうか。それなら、何か悩み事か?」
そう言ってわたしの隣に腰を下ろした女の人は、よく見るとそんなに歳が離れていないのかもしれない
「…まぁ…少し」
「遠慮せずに話してみろ
わたしで良ければ聞いてやる」
「え…と…」
「…あぁ、名乗っていなかったな
わたしは欄菊という」
「あ…わたしは…」
「小春、という名であろう?」
「えっ…どうしてわたしの名前を…」
「まぁよい。それより、話を聞かせろ」
先程から欄菊さんは男の人のような話し方をする
初対面のわたしの名前も知っているようだし…なんだか不思議な人
「じ、実は…わたしの幼なじみのことなんですけど…」
その後わたしは昼間にあったみっちゃんとの話を一通り話した
不思議なくらいすらすら話せて、欄菊さんも所々笑いながら聞いてくれていた