双華の香
「信じられない…
でも、わたしには姉妹なんて…いません」
「小春
おまえ、父と母はおらぬだろう」
「!」
そう、わたしには生まれたときから父も母もいなかった
番頭さんがわたしを引き取り、育ててくれて
そこの息子のみっちゃんに出会った
みっちゃんとわたしは歳が1つ違いで、以来わたしはみっちゃんをお兄ちゃんとして慕ってきた
「お前の父はわたしの父
…つまり、わたしたちは腹違いでな」
「腹違い…」
「そうだ
お互い父親似で、容姿もこんなに似ている」
もう一度、欄菊さんの顔をよく見る
まるで鏡を見ているみたいに本当にそっくり
…でも、欄菊さんの方がかなり大人っぽい
「まあ、お前はいささか子どもっぽいがな」
「…ぅ…」
「歳はそんなに離れていない
わたしの方が3つほど上だ」
「………」
「ふ…言葉もない、か」
疑おうにもここまで似ていたら疑えない
それなら、全てを聞いて思うことは一つ
「欄菊さん…
どうしてわたしに会いに来たんですか?」