双華の香




「暁…?」



聞こえた名前を口にする



「あぁ、少し扱いにくい奴だが安心しろ

腕だけは確かだ」




「はぁ…」



そんなこといわれても、いまいちピンとこない





「あの…欄菊さん…」



「―――小春」



「あぅっ…は、はい」



またまた欄菊さんに言葉を遮られた


わ、わざとかな…?なんてね




「いい加減『欄菊さん』などと呼ぶのはやめろ


欄菊でいい」



「あ…あの、じゃあ…」



まだ、完全には信じれてないけど


欄菊さんはお姉ちゃんなんだから…





「欄菊…お姉ちゃん」


「なっ!」


「ふっ…」



大きな目を見開いてこちらをみる欄菊さんと


その隣で静かに肩を揺らして笑う、風切さん




「やめろっ!!


そんな…わたしの柄に合わん!!」



「いいんじゃないですか、お似合いですよ」



「うるさい!風切は黙っていろ!


…笑うなっ!!」 




慌てふためく欄菊さんの顔は、きっと真っ赤


そんな欄菊さんを風切さんがからかっているようだった





「小春!!」



「はいっ!」



「せめて姉様と呼べ!

それ以外は許さん!!!」



「は…はいっ」




ものすごい剣幕にそれしか答えられなかった




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