双華の香




「姉様のような方が、普段から日が沈む頃に出かけられるとは思えません


それに、今着ている着物もかなり質がいい物のようですし…」




ちら、と姉様の隣を見やる




「…護衛の方もついていらっしゃいます」



「…あぁ、そうだな」




髪をかき揚げる姉様に若干見惚れながら、言葉を続ける




「もしかして姉様は…とても高貴な生まれの方ではありませんか?」



「…ふ」




鼻で笑うようにして、姉様は怪しく微笑んだ




「…まぁ、少しばかり良い家柄かもな」



「少し、ですか。珍しく謙虚ですね」



「風切、黙っていろ」




やっぱり、姉様は高貴な方なのだ





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