双華の香







「………?」





しばらくしてそっと目を開けてみると、頬には手が添えられていて



もう外は真っ暗だったからはっきりとは見えないけれど、



そこには切なそうに顔を歪めた、今にも泣き出しそうなみっちゃんがいた






「…みっちゃん…?」



「……馬鹿やろう…っ!」



「え…」





絞り出すような声が聞こえた瞬間、みっちゃんにきつく抱き締められた





「どんだけ心配したと思ってんだよ!!!」



「ひゃっ……」





間近で怒鳴られて、思わず肩が跳ねる





「喧嘩したまま出てって、放っとけばいつも通り帰ってくると思ってたのに



こんなに暗くなっても帰ってこねぇし…」






わたしを抱き締める腕に、さらに力がこもる








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