双華の香
「…小春、大丈夫か?」
「へ…?」
いきなり体を離されて顔を覗きこまれる
わたしはきょとんと首を傾げた
「いや、怪我してるかとか確認する前にお前のこと怒鳴っちまって…
その上、思いっきり抱き締めたし…ごめん」
「え、あ…いや、全然…!」
改めて言葉にされるとさらに恥ずかしいものがあって
言葉にすら動揺が隠せず出てしまった
「んじゃあ…か、帰るか」
「う…ん…」
そのまま先を歩き出したみっちゃんの手をそっと掴むと、
一瞬びっくりしたように動いたけれど、すぐに優しく握ってくれた
その後は一言も言葉を交わさずに、二人でお店までの道をゆっくり歩いて帰った
「…5日後…」
ぽつりと呟いた言葉は、みっちゃんには届いてないようだった
ふと空を見上げると、月と一緒にたくさんの星が輝いてみえた…