双華の香
迫りくる時間
欄菊ノ項
「…少し、強引すぎたか…」
昨夜のことを思い出す
自分と同じ顔をした、腹違いの妹のことを
「まさか本当にいたとはな…」
鏡を見ながら思い出す
確かに昨日、もうひとりのわたしがあそこにいた
…だが、全く同じというわけじゃない
「…随分と、可愛い妹をもったものだ」
初めて声をかけたとき、彼女は捨てられた子犬のような瞳をしていた
つい、守ってやりたくなるような
「小春と話している時、小春からは嫌と言うほど優しさがにじみ出ていた
愛されて育った証拠だ、きっとわたしよりも多くの愛を知っているのだろうな」
縁側に腰をかけ、きちんと手のかかった庭を見ながら呟く
「…何を黙っている、少しは何か言ったらどうだ?
…風切」