双華の香
すると、暁からうすら笑みが消え
切れ長の目で鋭くこちらを見据えて
「あぁ、憎いね
あんたのその面、大嫌いだ」
と吐き捨てた
「貴様、今日こそ殺す…!」
「まぁ良い風切、落ち着け」
「しかしっ」
「いつもの冷静さはどうした
らしくないことをするな」
「っ…、失礼しました」
半ば殺しにかかろうとする風切を下げると、わたしはその場で立ち上がり庭に降りた
「ふふふ、そう怒るな暁よ
そんなお前に朗報がある」
「…あんたの朗報で良かったことはねーよ」
「今回ばかりは本当だ
お前に護衛を頼みたい者がいる」
「あ?護衛?」
「わたしと同じ顔をした、小春という娘だ」