双華の香
「いたならいるよーって言ってよ!」
「真後ろにいんだから気づけ阿呆」
「阿呆ぉ~?」
その一言にむっとする
「みっちゃん口悪い!嫌い!」
「あぁ?んじゃ呼ぶなよ」
「だめだよお化粧してもらうんだから!」
「やだね」
「はい!」
笑顔で鏡とお化粧道具を手渡す
「………」
目を丸くして動かないみっちゃん
わたしは首を傾げた
「何やってるのみっちゃん?」
「いや、だから…え?」
「早く!時間がないの!」
「あれ…俺今いやだって言わなかっ――」
「はー!やー!くー!」
「あーわかったよ!!」
何やら不満そうな顔してるけど今は時間が最優先!
いつも通りの器用な手つきで、目を瞑るわたしの顔にお化粧を施していくみっちゃん