双華の香




「―――おい、おっさん達」



その時、みっちゃんの声がおじ様達の会話を遮って聞こえた



「…そういう会話、大きな声で言うのやめてくれねぇか」



「それくらいいいじゃないか実」


「おめぇ俺たちの唯一の楽しみを邪魔するのかぁ」



「そーゆー訳じゃなくて…」



ちらっとみっちゃんを見ると、視線が合う



みっちゃん…わたしのためになんて優しい…!




「聞きたくねぇーんだよ…


小春に色気なんざあったら気持ち悪ぃだろうが!!」




……………ん?




「考えてもみろよ…


あんなに小っこいただのちんちくりんに、色気を求めちゃいけねぇだろ」




……………………




「それはおっさん達…小春が可哀想だぜ」




「まぁ確かになぁ…」



「そりゃあそうなんだがなぁ」




「だろ?」



その後もなにやらたのしそうに話すみっちゃんの背中にまわり




「――みっちゃん、ちょっと来て?」




「うっ…!!!」




笑顔で声をかけると、逃げ出そうとする着物の袖を掴んで




わたしはそのままもっていたお盆で、みっちゃんの頭に渾身の一発をお見舞いしてあげた




ポカっ








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