幼馴染の窓 R18
ベッドに寝転んで、目を閉じて、そして、俺は何も見なかったことにした。
夕方だけど、明日の朝まで寝ようと思った。



…そうしないと、正気でいられそうになかったから。
羨ましくて、悔しくて、悲しくて。


だから、見なかったことに…しようとした。


だけど、やっぱり、咲の白い身体と一緒にいた男の顔は、俺の頭の中でぐるぐる回った。


咲のことを、分かっていたつもりでいた。
また同時に、分かってくれてもいると思っていた。
言葉には出さなかったけれど、そういう関係って、あると思っていた。



高校に入る前、咲と一緒に水族館へ行った。
子どもだったし、奢れるほど財布に余裕もなかった。
社会人…20代後半くらいに見えたあの男なら、奢ってやれるんだろうか。


イルカを見て喜ぶ咲は、とても可愛くて、俺は、こんな時間が続くことをなんの根拠もなく、信じてた。


「次はアザラシのショー行こうよっ!絶対最前列に並ぶんだから!」
なんて張り切っていたっけ。
俺が濡れるから最前列は嫌だと止めるのも聞かず、手を取って行って、かなり早い時間から場所を確保した。

そのくせ、後ろの見知らぬ子どもが、見えない…ってぼやくのを聞くと、
「思ったより濡れるし、後ろから見よ!」
と言って、すぐ動いたり。
…馬鹿なやつ。



帰りにイルカのペンダントを見つけたが、なんとなく気恥ずかしくて、買えなかった。


いつか、もう少し大人になったら、なんて思っていたが、もう、要らないんだろうな。
そう思うと、胸が締め付けられた。


ベッドでぐっと丸まって、枕にしみをつくることしか、出来ない俺は。



なんて、

なんて、

大馬鹿だったんだろう。
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