鳴かないホトトギス

▼ついてない日



人には三大欲求というものがあり、睡眠・食欲・性欲がその欲求だという。確かに、これらが無ければ生きていけないだろう。

どこかのサイトで見たのだが、眠らないと人は死ぬらしい。睡眠こそ人の原動力の基本というか、どの生き物の生活に置いても必要な活動要素だ。

ある人は言う。
「睡眠こそ人の元祖だ」
睡眠無くして人は生まれない。

つまり、何を言いたいのかというと。


「柴崎ぃっ、お前そこ寝るな!」

「うはいっ!」


慌てて顔を上げて黒板の前に立つ先生に視線を向ける。
腰に手をあて口元をヒクつかせ、どうやら怒ってらっしゃる原因は私にあるのか。そうなのか。

少し焦りながら先生の顔を見ていると、ふと先生が横を指差す。
なんだろうと顔を横に向ければ、すやすやと気持ち良さそうに眠る奴がいた。

名前は【柴崎 功太】(しばさき こうた)。私と同じ名字。

ああ、成る程。


「俺はそこで眠っている男の柴崎を怒鳴ったんだが…。ほほう、お前も寝てたのか女柴崎ぃ」


先生がにっこり笑うのを青褪めた顔で見つめながら、私は隣の席で呑気に眠る奴を恨んだ。

絶対あとで殴る。

そう心の内で決意しながら、私はもう一度先生の怒声を浴びたのだった。

ああ、眠気もとうに吹っ飛んだ。
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