鳴かないホトトギス
貧乏女子高生・【柴崎 古春】(しばさき こはる)とは私のことである。
高校に入学し生活を送って早々、先生に目をつけられた。
授業中に寝るわ成績は悪いわ、おまけに遅刻もよくするわで悪い悪いだらけの小娘だからである。
いやそれでも、私はまだ地味に生きている方だと思う。
私が先生に目をつけられている、最も大きな理由。
それは学年一の問題児であるアイツと、名字が一緒だからだろう。いや、絶対そうだ。
柴崎功太(こうた)は真面目ではない。むしろその逆で、髪は染めるし授業はサボるし平気で喧嘩もしている。
今も、左の頬と右眉上に絆創膏がしてある。口元も青い。痣ができてる。
痛々しいなあとは思うけど、決して可哀想だとは思わない。
だって、自業自得だし。私関係無いし。むしろ同じ名字なせいで迷惑かけられてるし。
私が心配してやる筋合いはないだろう。
心を鬼にした私・古春様は本気になると恐いんだぞ。容赦ないんだぞ。
と、内心威嚇しつつも、柴崎功太は不良なのだから敵うはずもない。
遠くから睨むだけで精一杯だ。