自由恋愛の秘密
「ただいまぁ」

 家の中に入ると,アコギの音が聞こえてくる。

 あっ,帰ってきてるんだ…

 うれしいような,なんか悲しいというか,テンションが下がるような複雑な気持ちが一瞬心の中に沸き起こる。

「それ次のライブで弾く曲だよね?えらいねー,練習熱心で」

 言った後,皮肉さがあったかな,と思う。だめだな,自分。

「お前練習してんの?スタジオに最近いなくねー?」

「いるよ!うちら朝練とか多いからさ。でもライブに間に合うかわからないんだよね…」

 私と彼氏のこいつは,大学で同じバンドサークルに所属していて。
 
 まあきちんと『所属』しているかって言われたら,そんなきっちりした感じじゃないからいつでもやめたりできるんだけど。

 2,3ヶ月前くらいに酔っ払った勢いで付き合ったというか…
 
 その前から仲は良かったんだけど,お互いに恋人がいたりして。

 だからいつも話をするときは,お互いの恋愛観?について,あーだこーだ,お前の彼氏はこうだからこう接したらよいとか,女はこういう考えだからここをわかってあげなきゃとか,指導し合ってた。
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