好きなもんは好き。
「なあ、舞香。」
「な、なに…?」
なんて思ってたらいきなりまた、“あの時”みたいに真剣で少し緊張したような声。
でも前と違うのは、恭平が至近距離で目の前にいて、
目が完全に合っちゃってるところ。
何考えてるのかは一切読めなくて、こんな表情見たことないのに、
真面目な顔で、なのにどこか切なそうな瞳に吸い込まれそうになる。
「…俺がお前のこと好きって言ったらどうする?」
「笑う。」
…は?
え、笑う。普通に笑う。
それか、エイプリルフールは過ぎましたけど?って言う。
ていうかちょっと待って、意味がわからない。
いきなり何なんだ…?
さっきまですごい泣きそうな感じだったから結構身構えたんだけど。
「笑うってお前…。」
「な、 なんかごめん…?」
グッタリと恭平が項垂れ出したから一応謝っておく。
ていうか、あれだよね?もしも恭平があたしに告白したらって話でしょ?
もし、だから別に恭平は、あたしのことなんて……好きじゃない、よね?
「あたし達、幼馴染じゃん?さすがに恋愛対象外になっちゃわない?」
ずっと、昔から一緒で、もう何でも知ってるし。
恭平に秘密なものなんて一つもないし、うん。