好きなもんは好き。
【恭平side】
「祭りぃーーー!!」
ハイテンションでクルクル回りながら隣でジャンプしてるのは、俺の幼馴染の小篠舞香。
回りながらジャンプとか変人一直線だからやめてほしいんだけど。
「ちょ、ちょっと待って恭平!?置いてかないでよ!!?」
「いや、知り合いに思われたくなくて。」
「どういう意味!!?」
信号が青に変わった途端、歩き始めれば必死になって追いかけてくる。
さっきまで大はしゃぎだったのに、コロコロ表情が変わるから、相変わらず目が離せない。
「今日如月達は現地集合?」
「紫乃?うん!家の方向真反対だからね!一ノ瀬くんも現地集合だよ!」
笑顔で話す舞香の言葉にチッと舌打ちしかけたのを抑える。
なんで優紀まで来るんだよ…。
優紀とは、昔から友達だったし、話も合うし、仲が良いと言われれば否定しない。
ただ舞香も相当優紀に懐いてるようで、2人が仲良さそうに話していると、なんか…イラつく。
「あ、やばい。花火忘れた。」
「ふふん、恭平がそういうと思って舞香ちゃん花火持ってきたんだな〜!」
何回か見たことのある、薄ピンクのシフォンワンピースをゆらゆら揺らしながら、
テッテレ〜!とでも言うように高らかにあげるから、とりあえず冷たい視線を送っておく。
「馬鹿みたいだからやめて。」
「馬鹿って言うなハゲ!!」
暗い夜の中2人で歩きながらいつもみたいに小さな言い合いを若干笑いながらする。
いつからこんな関係だったのか、なんて思い出せなくて。
生まれた時から隣に舞香がいるのが当たり前だった。