好きなもんは好き。
本人は気づいてないけど、舞香は、遥かに可愛い。
だから、周りにも狙ってるやつがいるのに焦るだけだなんて本当ダメだな。
「あ、紫乃〜!!」
「舞香、今日は早いじゃない。」
「だって今夕方じゃん!!」
学校に着いた途端、門の前にちょうどいた如月に駆け寄る舞香。
そう、夏休みに入った今日は例の学校で花火を持ち寄る花火大会的な日。
「朝は弱いけど、夕方からなら案外平気だよ〜!」
「舞香、朝弱すぎて笑えないものね。」
「待って紫乃さん、それどういう意味?」
「宿泊学習だって、ホテルで爆睡して起きなかったじゃない。」
「ああ、紫乃綺麗にあたしのこと置いて出て行ったよね。」
「あの後超スピードで支度して間に合ったからいいでしょ」
なんだかんだで仲良いこの2人の会話を聞き流しながら、辺りを見渡すと、時計台の下に私服姿で、待っている優紀を見つけた。
とりあえず、女子2人はその場に置いといて、優紀の元へ近づく。
「優紀、待たせたか?」
「あ、恭平。待ってないよ、大丈夫。」
ニコッと微笑む優紀に、"そうか、"とだけ返して、振り返ると、
舞香が走ってくるのが見えた。
「先に行くのは反則でしょ、バカ恭平!!」
「遅いのが悪いだろ」
「あ!一ノ瀬くん!久しぶり〜!!服オシャレだね!!」
おい、俺はスルーか。