好きなもんは好き。
「小篠さんもその服似合ってるね。」
「え、うそ!ありがとう!!あたし似合わない割にはガーリー系好きだから…」
「ふは、大丈夫だよ、全然似合ってると思う」
優紀が舞香にそう言うと、ぱあっと顔を明るくさせて笑う。
…優紀にもそんな顔するんだ。
俺以外にそんな顔で笑いかけているのに少しイラっときて目をそらす。
「舞香は本当に鈍感だからノロノロしてると奪われるわよ?」
「…別に。」
「強がっててもいいけど、後悔しても知らないからね?…舞香にも言ってるけどあの子理解力なさすぎ。」
如月の言葉が図星すぎて辛いんだけど。
…分かってるんだよ、舞香は誰のものでもなくて、誰が奪っても文句は言えないって。
でも、どうしようもなく誰にも渡したくないってことも。
「…えっ!?恭平怖っ!!!眉間に皺寄ってる!!」
いきなり振り返った舞香にそう指摘されて思わず手で眉間をさする。
…顔にすぐ不機嫌が出るって前にも舞香に言われたっけ。
「花火忘れたのがそんなに辛かった…?大丈夫だよあげるよ…??」
「ちっげーわバカ!!!」
心配そうな顔で覗き込んでくるから、条件反射で言い返す。
「顔真っ赤じゃない」
少しクスッと笑った如月に反応せずに、俯いた。
…本当、なんでそんなに俺を振り回すのが昔から上手なのか。