好きなもんは好き。
「わあああ〜っ!Trace好きな人ってあんまり会わないから嬉しいですっ!あ、華も限定のシャーペンなら持ってるんですよ!!」
そう言って、ペンポーチから急いで王冠のマークが入った黒くて細いシャーペンを取りだす華ちゃん。
「あ、それ持ってる。」
華ちゃんのシャーペンを見て、恭平が取り出したのは、まったく同じものだった。
…なんかよく分かんないけどお互いの趣味が一致したって感じ??
嬉しそうに頬を染めてはしゃぐ華ちゃんと、好きな曲を聴きだす恭平。
…なんか、完全に2人の世界って感じだな…。
邪魔しちゃ悪いと思って、こっそり1番後ろの自分の席へ戻ると、隣の町田くんに「いいの?」って言われた。
「え、いいのってどういう意味?」
「…恭平から聞いてたけど本当に鈍感なんだね。」
ニカっとした爽やかな笑顔で言ったけど今なんかディスった!!!?
なんか若干あたし今貶されましたよね!!?
「ていうか恭平があんなに楽しそうに女子と話すなんて珍しくない?」
「そ、そう…?」
町田くんに言われて、首を傾げるも、言われてみれば確かにそうだ。
小学校から色々あったから初対面の女の子にはそこまで親しく話そうとしない。
…はずだけど、華ちゃんとはあんなに楽しそうに話す…、って、まあ、華ちゃんくらい可愛かったら仕方ないのかな…。