好きなもんは好き。








「は、華ちゃんからの電話…、出ないで…」








混乱した頭の中じゃ、何て言ったらいいか、なんて出てこなくって、いつの間にか、そんなことを言っていた。







「なんで舞香がそう言うの?」








「…なんでって言われても…」









鳴り続ける携帯を片手に、向き合う恭平に何も言えなくなる。









なんでって、言われても…!恭平相手になんて言ったらいいんですか!










「そう言うこと言われると期待するんだけど…、って、舞香に期待しても俺のことなんて見えてないよな」








独り言のように言って、画面を操作しようとした恭平の右手を掴んで止める。









み、見えてないとか期待するとかよくわかんないけど…、










なんで、さっきからそんな寂しそうな目をするの?









「…電話、出ないで、…華ちゃんと2人で恭平が話してるって思うとなんかモヤモヤする…」









「…っ!だから、そうやって期待だけさせて」








「期待だけって何!?よくわかんないけど、あたしが好きなのは恭平なの!!」









………あ。








言ってしまった言葉と恭平のこれでもかとばかりに見開かれた目を見てやってしまった、と察する。









あたし今なんていった…?好きって言った?










キレて告白した!!!?









「あ、いや、じゃ、え、まあソウイウコトデ!!」









「あ、おい!!待て!舞香!!」










恭平に呼び止められた気がしたけどそんなの気にしてる状況じゃなくて。









逃げるように、窓を開けて、手すりを飛び越える。










全速力で帰ってきたあたしの部屋についたとたん、項垂れる。











だ、誰か今の今まで嘘でーす!!って言って!!











なんて願っても時すでに遅し…。










病み上がりってことも忘れて、のたうちまわることしかできませんでした…。











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