好きなもんは好き。








「ううん…、と、届かないっ…!」










専用の台に乗りながら精一杯手を伸ばすけど、なかなか1番上の棚に手が届かない。








チビの敵だっ…!!!






本の整理もそろそろ終わりそうな頃、まさかの1番上の列の本というラスボス。







届くわけないじゃないか!!!!







キッと、睨んで頑張っていると小さく笑った一ノ瀬くんが「代わろうか?」と言ってくれた。










そうだね、一ノ瀬くんがやったほうが効率いいよね、はは…。









「うん、ごめんありがと!あたしチビだから…って、わ!!!?」








……あ。








言いながら台を降りようとした瞬間、つるっと足が滑る。










え、ちょっ!?こ、転ける!!?











体勢を崩して焦るあたしに、一ノ瀬くんが伸ばしてくれた手を勢いで掴んだ。










って言っても時すでに遅し。








そのまま、伸ばしてくれた手ごと引っ張って、一ノ瀬くんと一緒に倒れてしまう。









「い、たた………」









完全に転けたな、これ………。









「あ、ちょ、一ノ瀬くん大丈夫?!」








反射的に瞑ってた目を開けると、天井と覆い被さる一ノ瀬くんの姿がうつる。








え、な、なんだ…昨日といい今日といい…??









「うん…大丈夫だけど………、小篠さん怪我なかった?」






「あ!うん!ありがとう!!」








一ノ瀬くんが転ける瞬間に抱きとめてくれたおかげで一切の無傷で生還したあたし。








それより…えっと、あの、うん……近いよね!








改めて一ノ瀬くんの顔を至近距離でみて固まってしまう。









絶対あたし、顔赤い気が……!!









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