好きなもんは好き。









紫乃を見送って、いつの間にか教室に1人になっているのに気づく。










え、もう、みんな帰ったの!?部活!?早くない!?あたしが遅いだけ!?










「戸締りあたしか…」









日直の後継ぎが必然的にあたしになったらしく、開いていた窓まで歩いて閉めようと手をかける。









と、その瞬間、色は茶色に変わったけど昔からふわふわの髪の毛を見つける。








…恭平だ。校庭を見渡せるこの窓から見える後ろ姿でもわかる。









"やり方だってなんだっていいじゃない"









紫乃の言葉を思い出して、窓から思わず少しだけ身を乗り出す。








そうだ、ウジウジしてても何も変わらない。








どうしようもなく好きなんだったら、それを伝える以外にあたしには方法が思い浮かばないし!










すうっと思い切り息を吸い込んで、全開に開けた窓から大声で叫ぶ。










「背番号10番!!櫻田恭平!!好きな食べ物プリン!嫌いな食べ物ニラ!!!」










名前を呼ばれた恭平が驚いて振り返ったのを確認して叫び続ける。









恭平だけじゃなくて想像以上にたくさんの人が校庭にいて全員がポカンとしてますけど気にしている場合じゃないですよね!










「恭平いっつもチビチビって言うし、キモとか普通で言われるし、幼なじみが恋愛対象なんてありえないって思ってたけど、いつだって当たり前に一緒にいて欲しい人なんて、恭平しかいなかった!」









われながら破天荒なやり方だとは思うけど、伝わって欲しい。








届いて欲しい。好きなら好きって胸を張って言いたい。










「…好きです、誰よりも恭平が好きです!!あたしと付き合って!!」










言いたいこと全部言い終わって、ふう、と小さく息を吐く。








…ていうか、今更って感じだけど、あ、あたしすっごい恥ずかしいこと言った!?








かあああっと顔が熱くなるのを感じながらも校庭の恭平を見つめる。









……ありえないくらい恥ずかしいけど、後悔はしてないんだ。









スッキリした気持ちになっていたのもつかの間、今まで唖然としていた恭平がハッとしたと思ったらズンズン校舎へと歩き出す。









…え、ちょっと待って、こっちに来る!!?








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