好きなもんは好き。










呼ばれた名前に振り向くと、案の定もうすぐ近くまで来ていた恭平が視界に入る。









先輩方が「ヤバイ」とか騒ぎ出すけど、とりあえず恭平が来る前に、








すうっと息を吸って言葉を紡ぐ。










「言っときますけど、恭平の何を知ってます?…あたしは、顔だけ見て人を決めるような人たちよりもずっと恭平の全部を見ようとしてます。」










さっきからずっと言いたかった言葉。









本当、恭平の何を知ってるんだろう。









恭平とこの先輩達が喋ってるのなんて見たことないし、堂々と好きって言えない割にあたしにだけ文句言うとかなんか違うと思う。









「…、もう、いい!!」









不機嫌そうにそう言って、ぞろぞろと帰っていく先輩達に、ふうっと息を吐く。










と、同時にすぐそばに来た恭平が隣に立った。









「…終わった?」








「うん、たった今。」








「…ごめん」









珍しく眉毛を下げて謝る恭平に少しだけ笑う。









いや、だってあたしが呼び出されるたびに恭平が謝るんだもん!








「何笑ってんの」







「だって、恭平悪くないのに毎回言うから…!」










あたしがそう言うと、余計に怪訝そうな顔を見せる。








…そりゃあね、恭平は顔は整ってると思うしイケメンだって認めるよ?










でも、それだけじゃないってことよーく知ってるから。









だから、あたしは負けないし、大丈夫なのに。











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