トリプルトラブル
 子供達が学校へ行っている時間。

正樹と沙耶はルーフバルコニーにいた。

少し高台にある長尾家。
長閑な田舎の風景が眼下に広がる。


「花火大会の時には気付かなかったけど、此処って凄く気持ちいいのね」

空気を感じるために沙耶は深呼吸をする。


「姉が此処を買いたくなった理由が解るわ。私悪いこと言っちゃったかな?」

沙耶はそう言いながらもう一度両手を大きく広げた。

「コレなのよね。この雰囲気をみんなで楽しみたかったのね。私解ってやれずにキツいことばかり言っていたわ」

沙耶はうっすら涙ぐんでいた。

今日の沙耶は何時に増しておしゃべりだった。
沙耶は久しぶりの正樹ののツーショットに舞い上がっていたのだ。




 「ところでお義兄さん、おりいっての相談って?」


(――良かった……)

正樹は素直にそう思った。

沙耶が切り出してくれたお陰で、正樹はやっと本題に入ることが出来る。

(――でもどうやって話出せば……)

正樹は少し躊躇しながら、それでもやっと話出した。


「以前勧めてくれたお見合いだけど……」

正樹は恐る恐る沙耶を見ていた。


「えっ、お見合い!?」

沙耶は目を丸くして、正樹を見た。


「だからその、もう一度考え直そうかと……」


「何考えてるの!?」
沙耶は正樹に詰め寄った。


「美紀ちゃんはどうなるの!? あんなにお義兄さんのことが好きなのに!」




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