トリプルトラブル
沙耶の剣幕に正樹はたじたじになった。
「解っているの!? お義兄さんは三人の女性から愛されているのよ!」
「三人!?」
「そう三人。何故美紀ちゃんが子供の頃から『パパのお嫁さんになる』って言っていたか解る? 結城智恵さんが言わせていたの」
「えっ!!」
正樹も目を丸くした。
「好きだったのよ! お義兄さんのことが。大好きだったのよ!」
沙耶はとうとう泣き出した。
自分でも解らない感情が沙耶を支配していた。
(――三人か……)
沙耶は俯いた。
本当は三人ではないことに気付いて……
「そんな!? 俺は結城智恵が好きだった。守ってやりたかった。でも珠希に出会い俺は変わった。素直になれた。守って貰いたくなった」
でも、聞き捨てならないことを言い出した正樹を又見つめる羽目になった。
「守って貰いたく?」
沙耶はやっと言えた。
そう、沙耶にとってはやっとだったのだ。
「うん、そうなんだ。珠希の前だと子供のままで居られた。だから俺は思いっきり甘えられた」
「お姉さん正樹さんに夢中だったものね。だから甘えさせてあげられた」
「うん。珠希には本当に感謝しているプロレスラーになりたい夢も叶えさせて貰った」
「でも、私だって面食らったわよ。何で同級生をお義兄さんと呼ばなくてはいけないんだって。でも少しだけお義兄さんの方が産まれ月が早かったから良かったけどね」
そう……
沙耶と正樹は中学の同級生だったのだ。
だから沙耶は色々と忠告出来たのだった。
キツい言葉も掛けられた訳だった。
結城智恵が初恋の相手であることも知っていた。
だから産婦人科での再会を知った時、正樹の子供ではないかと疑ったのだった。
でも……
沙耶も悩んでいた。
正樹は沙耶の初恋の相手でもあったのだ。
三人ではない……
自分も含めて四人だったのだ。
「解っているの!? お義兄さんは三人の女性から愛されているのよ!」
「三人!?」
「そう三人。何故美紀ちゃんが子供の頃から『パパのお嫁さんになる』って言っていたか解る? 結城智恵さんが言わせていたの」
「えっ!!」
正樹も目を丸くした。
「好きだったのよ! お義兄さんのことが。大好きだったのよ!」
沙耶はとうとう泣き出した。
自分でも解らない感情が沙耶を支配していた。
(――三人か……)
沙耶は俯いた。
本当は三人ではないことに気付いて……
「そんな!? 俺は結城智恵が好きだった。守ってやりたかった。でも珠希に出会い俺は変わった。素直になれた。守って貰いたくなった」
でも、聞き捨てならないことを言い出した正樹を又見つめる羽目になった。
「守って貰いたく?」
沙耶はやっと言えた。
そう、沙耶にとってはやっとだったのだ。
「うん、そうなんだ。珠希の前だと子供のままで居られた。だから俺は思いっきり甘えられた」
「お姉さん正樹さんに夢中だったものね。だから甘えさせてあげられた」
「うん。珠希には本当に感謝しているプロレスラーになりたい夢も叶えさせて貰った」
「でも、私だって面食らったわよ。何で同級生をお義兄さんと呼ばなくてはいけないんだって。でも少しだけお義兄さんの方が産まれ月が早かったから良かったけどね」
そう……
沙耶と正樹は中学の同級生だったのだ。
だから沙耶は色々と忠告出来たのだった。
キツい言葉も掛けられた訳だった。
結城智恵が初恋の相手であることも知っていた。
だから産婦人科での再会を知った時、正樹の子供ではないかと疑ったのだった。
でも……
沙耶も悩んでいた。
正樹は沙耶の初恋の相手でもあったのだ。
三人ではない……
自分も含めて四人だったのだ。