トリプルトラブル
二人のデートコースは決まってその施設だった。
それだけ珠希は正樹の筋肉作りに邁進したことになる。
珠希はエクササイズの本を図書室で借りて読みあさり、正樹だけではなく自分の筋肉も強化したのだった。
珠希と一緒に居られることで成長する正樹。
高校を卒業する頃には、すっかりプロレスラーの体が出来上がっていたのだった。
柔道は高校での体育授業で必須科目だったので胴着は既にあったのだ。
なるべくお金かけたくないと思う珠希らしい発想だった。
だから正樹はどんどん力を着けていけたのだった。
「珠希は一生懸命だった。だからそれに報いるために頑張った。こんな小さな体でプロレスラーになれたんだ」
正樹は又泣いていた。
「こんないい加減な奴が美紀を好きになっても良いのだろうか?」
「何処が?」
沙耶はやっと笑った。
「お義兄さんは、真面目過ぎるほど真面目だと思うけどな。だから美紀ちゃんが好きになったのよ。堂々と告白したら?」
沙耶はウィンクをした。
「それともう一つ気になることがあるんだけど。あのーもしかして、美紀ちゃんの中にお姉さんを感じていない?」
沙耶はきっぱりと言った。
正樹は頷いた。
「やっぱり……。実は私も感じていたの。美紀ちゃんには姉も憑依していると思うのよ」
「だから、一生懸命世話をやいてくれたのか?」
沙耶は頷いた。
「あの事故の時、きっと美紀ちゃんに……。だってお義兄さんに生きていてほしかったからよ。でも……」
そう言って沙耶は少し口ごもった。
「私は花火大会の日に美紀ちゃんの中に珠希姉さんを感じたの。そして美紀ちゃんと話をして全てを悟ったのよ。お義兄さんを助けるために憑依したのだと」
沙耶はやっと言った。
「俺は最初ヘアースタイルのせいだと思っていた。珠希の誕生日に何時ものように髪を下ろした美紀が、珠希と重なっただけだと思い込もうとしていたんだ。余りにも苦しくて」
正樹は泣いていた。
バレンタインデーの夜。
美紀の襲撃を受けた時、無理やり抑えた身体が疼く。
正樹は未だにあの日の自分と戦っていたのだった。
抱き締められたらどんなに良かったか。
でもその瞬間に珠希を愛した記憶さえも無くしてしまいそうだった。
美紀を受け入れることは、背徳の行為どころの問題ではなかったのだ。
それだけ珠希は正樹の筋肉作りに邁進したことになる。
珠希はエクササイズの本を図書室で借りて読みあさり、正樹だけではなく自分の筋肉も強化したのだった。
珠希と一緒に居られることで成長する正樹。
高校を卒業する頃には、すっかりプロレスラーの体が出来上がっていたのだった。
柔道は高校での体育授業で必須科目だったので胴着は既にあったのだ。
なるべくお金かけたくないと思う珠希らしい発想だった。
だから正樹はどんどん力を着けていけたのだった。
「珠希は一生懸命だった。だからそれに報いるために頑張った。こんな小さな体でプロレスラーになれたんだ」
正樹は又泣いていた。
「こんないい加減な奴が美紀を好きになっても良いのだろうか?」
「何処が?」
沙耶はやっと笑った。
「お義兄さんは、真面目過ぎるほど真面目だと思うけどな。だから美紀ちゃんが好きになったのよ。堂々と告白したら?」
沙耶はウィンクをした。
「それともう一つ気になることがあるんだけど。あのーもしかして、美紀ちゃんの中にお姉さんを感じていない?」
沙耶はきっぱりと言った。
正樹は頷いた。
「やっぱり……。実は私も感じていたの。美紀ちゃんには姉も憑依していると思うのよ」
「だから、一生懸命世話をやいてくれたのか?」
沙耶は頷いた。
「あの事故の時、きっと美紀ちゃんに……。だってお義兄さんに生きていてほしかったからよ。でも……」
そう言って沙耶は少し口ごもった。
「私は花火大会の日に美紀ちゃんの中に珠希姉さんを感じたの。そして美紀ちゃんと話をして全てを悟ったのよ。お義兄さんを助けるために憑依したのだと」
沙耶はやっと言った。
「俺は最初ヘアースタイルのせいだと思っていた。珠希の誕生日に何時ものように髪を下ろした美紀が、珠希と重なっただけだと思い込もうとしていたんだ。余りにも苦しくて」
正樹は泣いていた。
バレンタインデーの夜。
美紀の襲撃を受けた時、無理やり抑えた身体が疼く。
正樹は未だにあの日の自分と戦っていたのだった。
抱き締められたらどんなに良かったか。
でもその瞬間に珠希を愛した記憶さえも無くしてしまいそうだった。
美紀を受け入れることは、背徳の行為どころの問題ではなかったのだ。