トリプルトラブル
 正樹は高校へ行き、心配していた校長先生に婚約の報告をした。


「君はまだ若いけど、まさか本当に結婚するとはね。ところで息子さん達は承知してもらえたのかね」

痛い所を突く校長先生。正樹は首を振った。


「こうなりゃ強行突破でもしようかと。式ですが、卒業式の後を予定しています」


「結婚式は卒業式の後か? よし判った。私が何とかしましょう。要するに、式の邪魔をしなければ良いってことだろう? 正式に決まったら連絡してくれたまえ」

校長先生が正樹と美紀の肩を叩く。

正樹は深々と頭を下げた。

美紀も慌てて頭を下げた。




 「ところでだが……」
校長先生はそう言いながら席を立った。


「今、結婚式場の予約が大変だと聞いたのだが」

それは美紀も聞いていた。

一年待ちもあるそうだと。
でも幸い空いているようなのだ。
とりあえず仮予約だけはしておいた。


それは元プロレスラー、平成の小影虎の名前だった。
高校球児バッテリーの父親と言う肩書きの力は偉大だったのだ。
でも絶対に口外しないと約束はさせた。


もしバレると……
正樹はそれが気が気ではなかったのだった。


でも本当のところはそれほどではなかった。

式のみだったからだ。
大や、息子達のことを考えると、披露宴まで出来ないと思ったのだ。


それでも、この場に及んでも正樹は迷っていた。

大阪の美紀の祖父にどうやって切り出そうかと。


そう……
それが一番の難関だったのだ。




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