トリプルトラブル
 秀樹はさっきまで悩んでいたことが嘘のように晴れていた。
カーブでストライクが決まって有頂天になってしまったのだ。


でも二番バッターでプレッシャーを掛けられる。
それはフェアプレーとは程遠い高校球児らしからぬ攻撃パターンだった。


バッターは打席に入り投球を待つ振りをしていた。
勢い付いた秀樹は絶対の自信をもって、SFBを投げた。


「ボール」
主審の声が響く。

秀樹は首を傾げた。
何故だか判らないのだ。

バッターはバットを下ろして打席を外すように後ろに下がっていたのだ。


結局、秀樹はバッターにフォアボールを与えていた。


次のバッターも最悪だった。
打席を外すと見せ掛けて、ボークを誘ったのだ。
結局ボロボロになった秀樹は一回裏に三点を献上してしまったのだった。




 ボーク。
ピッチャーがバッターに対し投球動作を起こしたら、その動きを途中で止めたり変更することは出来ない。

ランナーがスタートを切ったからと言っても宣告される。

判断が難しいケースもあるが、厳しいジャッチをしても良いとされている。


セットポジションに入ったピッチャーが、投球前に身体の前でボールをキープしたら完全に静止しなければなない。

この時、ランナーを確認するために動かしても良いのは首から上だけ。

上半身を捻って肩が動いた場合はボークになる。

牽制球を投げるには、上半身を含む身体全体を塁の方向同時かステップした後に動かさなければいけない。




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