約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く
「舞、お前は誰だ?」
空を見上げながら、懐かしい二人に思いを馳せている途中に、突然、聴覚にとどまった晋兄の声。
お前は誰だって?って
何、いきなり。
突然の言葉に、驚いて寝転がっていた砂浜から慌てて飛び起きて晋兄を見つめる。
「何?
舞だよ。
ほらっ、さっきも晋兄は私のこと舞って呼んでくれたじゃない?
晋兄こそ、なんでいきなりそんなこと言うの?」
私が舞じゃない?
ううん、私は舞だよ。
加賀舞。
加賀舞……だけど、どうしてだろう。
ズキンっと頭が痛くなる。
「あぁ~。お前は確かに舞だ。
舞だけど、お前は俺が知っている泣き虫舞じゃない」
えっ?
何?
私は晋兄が知ってる舞じゃないの?
何?
突然、晋兄は何言いだすのよ。
私は舞……。
加賀舞。現代から、ここ幕末に花桜と瑠花と一緒に飛ばされて記憶を失った。
記憶喪失のまま晋兄たちと出会って京で記憶が戻った。
私の記憶の中には昔、晋兄や義助たちと一緒に暮らしてた時間がある。
義助を追いかけて萩から京に向かって、
私は新選組の斎藤さんに助けられて出会った。
その後は……斎藤さんと一緒に歩んでた。
そう……あれ、何度も夢に見たあの赤ちゃんは誰?
ズキンズキンと波打つように頭痛は酷くなって、
私は空の眩しさに、着物の袖で目を覆い隠す。
どうして?
何?
そのまま私は何かに吸い込まれていくように意識を手放した。