約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く
晋兄が繋がりを持っていた福岡藩を脱藩していた知人に助けをかりて、
モトさんを救出させたのだという。
そして、もう一つ大きく変わったのは、高杉晋作という名前がなくなり、
新たに長州藩より『谷 潜蔵【たに せんぞう】』と言う名を頂き、
高杉のお家からはいつの間にか廃嫡されていた晋兄は、
全く馴染みのない名前で、谷家の第一代目として過ごすように告げられた。
どんなに名前が変わっても、私にとっての晋兄は変わることはない。
そして、それは雅姉さまも、おうのさんも同じ気持ちみたいだった。
雅姉さまと、おうのさんの間にたって、仲裁役を担ってくれたのは、
姫島救出後、下関の勤皇豪商にかくまわれているモトさんだった。
時代は大きく動き出す。
ねぇ、晋兄……?
今の現実は、遠い昔から晋兄が見通してきた遠い未来絵図だったの?
もしそうだとしたら……描き続けた未来絵図が叶った今、
晋兄が見つめる先はどんな世界なの?
行き急ぐように、命を削り続ける晋兄を見届けながらも、
私はなかなか晋兄が描き続けるその場所に、辿り着けないでいた。