約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く
「帰りは歩いてもらうよ。
この場所は瑠花の席だから」
そんなことを言いながら馬をゆっくりと走らせ始めた。
その夜は手配してもらった宿で泊まって、
翌朝、船着き場で瑠花がのっている船が辿り着くのを待った。
何隻も慌ただしく行きかう船を見送って、
ようやくゆっくりと入ってきた船。
船が止まると忙しくなく積み荷を運びおろしていく中、
瑠花が誰かにゆっくりとお辞儀をして下船してくる。
「瑠花ぁー」
思わず大きな声で呼ぶと、
私に気がついた瑠花はまっすぐに駆け寄ってくる。
「花桜、総司~ただいまー」
「おかえり、瑠花」
沖田さんよりも先に女の友情宜しく抱き着いた私。
その後は、じっくりとお互いの温盛を感じあう様に、
沖田さんと瑠花は抱きしめあった。
「お帰りなさい……瑠花」
そう言って、瑠花を見つめる沖田さんは凄く柔らかい貌をしていた。
大坂から今日に戻る際も瑠花はずっと馬の背にまたがっていて、
私と沖田さんが歩きながら京を目指した。
西本願寺。
屯所内の久々の二人の部屋へと入った瑠花は、
荷解きをして、何かを私に取り出した。
「はいっ。
こっちは山崎さんから花桜へ預かってきた」
差し出された箱の中に入っていたのは、
螺鈿細工が施された簪。
「うわぁー、綺麗」
思わず、その簪を手に取って抱きしめる。