約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く


「高杉さんは猫は飼ってなさるの?」


その言葉に、私は首を横に振る。



その後は黒猫探しをその人たちとして何とか神社に続く森の中で見つけて捕まえると、
私はその人たちと一緒に、再び、隠れ家へと向かった。




「高杉さん」



門の前で次々と声をかけるその人たちの声は皆、親しげで、
中から門が開く音が聞こえて、おうのさんが姿を見せる。



「あぁ、おうのさんじゃ。
 高杉さんは?」

「皆さま、いつも有難うございます。
 晋さまは、今、奥で灸をなさっておいでです。

どうぞ、皆さまのお気持ちはお伝えしておきます。
 いつも有難うございます」





そう言って、おうのさんはゆっくりとお辞儀をすると、
晋兄を心配してきてくれた人たちは、各々が持ってきてた野菜などの籠を次々と手渡す。

そんな隙間をぬぐう様に、先ほど捕まえたばかりの黒猫が隠れ家の中へと逃げるように駆け込む。


「まぁ」

驚いたような、おうのさんの前を通り抜けて私は黒猫を追いかけるように敷地内へと走りこんだ。



黒猫は縁側に座る晋兄の方へとまっすぐに走っていく。


そして一通り縁側から上がり込んで周囲をくるりと歩くと、
とぐろを巻くようにして小さくまるまった。





「こらぁ。
 まだ許可も貰ってないのに、入っちゃダメじゃない。

 クロ」





黒猫だからクロ。
平凡すぎる名前でも、この際仕方がない。

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