あなたの心理テスト(ホラー)
くるみの話題
 「なあ、聞いてくれよ~!俺、昨日彼女できちゃったんだぜ!」


「うわっ、まじかよ!ついにお前もリア充かよ!!羨ましい~」


くだらない会話で盛り上がる教室。


―――――今は掃除時間だっていうのに、何を考えているんだ。


「おい!掃除時間だろ!?真面目にやれよ!」


 突然、坂上努(さかがみ つとむ)が教室中に響き渡る声で叫んだ。


 もちろん楽しく喋っていたグループは不満以外の何の感情もない。


「まあまあ、そうカッカするなよぉ~!楽しくやろうぜ、


 つ・と・む・君?」


さっき彼女ができたと言っていた遠野正(とおの ただし)が努の元へ近寄っていく。


正はクラスのまとめ役。と言っても良いまとめ方ではない。


いや、まとめると言った時点で間違っている。


ねじ伏せる、と言ったほうが正しいだろうか。


言う事を聞く奴はそのまま自分の仲間と見なし、


逆らう奴にはいじめてでも自分に忠誠を誓わせる、そんな奴だ。


どこのクラスにも一人はいる、暴れん坊将軍。


まさにそれが正という男だった。


どこが正しいのかと思うほど、名前と中身が合っていない。


香水の臭いがおばさんよりきつく、裏では『くさし』と呼ばれている。


 一方、正と正反対なのが努。


遅刻、サボり、不真面目なことが嫌いなきっちりとした男である。


 しかし努たちの通うこの県立神田西高校はいわゆる不良校。


生徒の八割は髪を染め、もうどうしようもない高校だ。


そんな高校の中での努の性格は、周りから見れば異常であった。


一般常識から見れば高校生の手本なのだが、不良から見れば、異常。


周りの環境が良くない為、そう見なされてしまうのだ。


「正、掃除は真面目にやろう。俺らの使う教室だ」


努が説得するも、


「ハッ、知ったこっちゃねーよ。おっと、塾の時間だ!じゃ、お先~!!」


塾があるから、という理由でいつも途中で帰ってしまう。


絶対塾なんかやっていないと周りは思っている。


しかし、それを口に出せるはずもなく、正がいなくなった教室を


黙々と掃除するだけだった。
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