恋愛メンテナンス
………。

何、黙ってんのよ。

何か言ってよ。

「おい、おまえ一体どの面さげて、そんな言葉をほざくんだぁ?仮にも上司に向かって逆らうにしちゃあ、まだまだ早い身分だろ、なぁ?」

いきなり、物凄い真剣に怒ってきて怖くなった。

「仕事の事を、こうやってプライベートで持ち込んでぇ、どうにかして貰えるとでも思ってんのかぁ?」

ううっ…!

「そ、相談くらい上司として聞いてくれてもいいじゃない。何で、そんなにガチでムカつかれなきゃならないの…」

「話にならんな、おまえ。俺に次に何か言って来てみろ。すぐクビにしてやる。それが会社ってもんだからなぁ」

ムカツクーーッ!

「嫌な男…」

呟くと、壁に持たれながら余裕な顔してニヤリとされた。

「そらぁ、どうも」

「何よ!」

悔しい!

言い返してこないから、余計に腹が立つ!

「…お帰り下さい。雑用がお似合いのシンデレラさん」

永田さんは頭を傾げながら、バカにした笑い方で扉を開けた。

私は永田さんの胸をドン!と押して、自分の部屋へと戻って行った。

アホ!

バカ!

あんな最低最悪な性格な男。

ドキドキしてた自分が嫌になる。

胸の内を、あの時みたいに素直に話しただけなのに。

…怒られた。

私はそれから、しばらくは黙々と与えられた通りに雑用をこなしていた。

1週間、2週間が過ぎる。

べ~つ~にぃ~。

全然、平気だしぃ~。

もうすぐ、街コン有るしぃ~!

楽しい事が、待ってるも~んだ!

モモちゃんからの電話で、

「キャーッ!やだやだぁ~!としこっち、絶対にそれ運命の人だよぉ!」

3度目の偶然の出逢いを教えると、他人事なのに大興奮してるんだから。

「雑用のシンデレラだとか、抜かしやがってムカツクわぁ」

愚痴ってんのに、

「いいじゃん。雑用のシンデレラと副所長の王子様って、最高じゃなぁい。素敵だなぁ☆」

「ねぇ聞いてる?私の話…」

「頑張ってね。二人がうまく行くように、私は応援するから。早く王子様がとしこっちのモノになりますように…」

私のモノって…。

要らんわい!

あんなサタンの申し子みたいな男!

「ここでグイグイと、としこっちのラブパワーで、奥さんへの未練を忘れさせちゃうって作戦でどう?」

「笑えるわ~♪」

こらこらぁ。

もう、どんどんモモちゃん勝手に楽しんでるんだからぁ。

「ガラスの靴を落として、振り向かせる作戦として、せっかくの近い距離なんだから、豚汁の時みたいに、食べ物で釣るってのはどう?」
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