恋愛メンテナンス
3席目は営業マン。

私服姿もチャラくなくて、清潔そう。

でも、営業マンだけあってノリが軽い。

笑顔も凄い。

会話術の器用さに、お喋り好きな私も、嘘っぽくてタジタジ。

でも、モモちゃんは嬉しそうに何度も深く頷いて、手を叩いては笑っていた。

やっぱり恋多き女同士でも好みは同じな訳じゃないんだね。

私はもう、優しいだけの中身のない男は嫌だ。

金は有っても、自分で何も出来ない男も嫌だ。

頼りたいのに、甘えたいのに、仕事ばかりの男も嫌だ。

ペラペラと自慢話して、難しい経済学の話を一方的に押し付けてくる男も嫌だ。

自分は他人の犠牲にはなりたくないけど、好きな人には自分を犠牲にしてまでも私に有りのままの本心をさらけ出してくれる男がいい。

製造業だとか、警備だとか、表じゃなく裏から人のために仕事をしてる男がいい。

収入なんて少なくたって、子どもを産まない私はその人と一緒になって働くから。

とにかく、付き合うならそういう人を選びたい。

街コンも終わり、チドリ足のモモちゃん。

ちゃっかり、営業マンの男の人とコッソリ番号交換していたのを、私は知っている。

「イイ人居なかったねぇ~♪」

「嘘だぁ、居たクセに~♪」

「あっ、バレたぁ~♪」

モモちゃんはとっても嬉しそうに酔っ払っていた。

「としこっちタイプ変わったねぇ」

「あぁ、まぁね」

冬ソナ流行った辺りは、ヨン様系の黒ぶちメガネのインテリが好きなタイプだったけど。

やっぱり、父親みたいな男を好きになっちゃうのかなぁ。

細身のそれこそ作業服着て、裏で仕事する男。

「リーマンには、ウンザリなだけだよ」

「そっかぁ」

今夜の私は、収穫ゼロだったな。

自分好みの恋愛ですらも、もう出来ない年になってきちゃったのかなぁ。

アラサーの出逢いはつらいよ。
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