恋愛メンテナンス
私は永田さんの背中に見とれていた。

この人、時々言葉とは裏腹。

本当に変な人。

そうやって片付けを嫌がらないで、進んでやってくれるのは…。

職業がら?

それとも、家庭を持った事があるから?

私は意地悪に呟いてやる。

「パパァ…パパァ…パパ、パパ、パパッ…」

「……」

何で反応しないのよ!

この人…。

この私の好きな人が…。

どっかの子のパパだったなんて…。

それだけでも、ショック。

こんなにカッコイイ人が、結婚して子どもなんているだなんて絶対に嫌だ。

そんな現実、認めたくない。

せっかくの男前人生、勿体無いよ。

「おいっ、…なぁに、さっきから言ってんだよ」

水道をひねりながら、振り返る。

独りの、何もない、ただの男だったらよかったのに。

永田さんには、これからもずっと絶対に独身でいて欲しいよ。

「バカッ!て言ったんだよーだ」

< 49 / 100 >

この作品をシェア

pagetop