恋愛メンテナンス
clean 18 師走は忙しい
年末は、やはりどこの会社も大忙し。

私は補助として、ビル清掃やマンション清掃、それからお店や事務所などの清掃に、連れて行かされる。

従業員は、てんてこ舞い。

どこも、いわゆる大掃除ってやつだね。

自分の部屋は掃除もしないで、ほっぽいたままなのに。

永田さんはいつも私に付き添って、厳しいけれどしっかり教えてくれる。

人を教えながら作業すると、なかなか思うように進まないから、倍時間がかかる。

だけど、永田さんは凄く要領も段取りも良くて、教え方も上手だから次々と私も作業をこなして行くのだ。

さすが、副所長どのだ。

時々、その姿に惚れ惚れしてボケーッとしていると、

「おいっ!早くやれよ」

容赦なく注意される。

「はい、すいません!」

クソッ…。

頭、コツかれた。

結構、営業所から出突っ張りで。

お昼は、一緒にランチして。

と言うより、普通に昼飯を食べる。

私はまだ、アルバイトの身分だから、夕方4時までしか勤務できないのだ。

だからわざわざ、車でまた事務所まで送ってもらって私は帰るのだ。

結局、クリスマス。

2人でコタツん中で眠りコケて、翌朝25日のクリスマスのお昼過ぎまで一緒に過ごした。

…何もされなかった事が、ちょっとガッカリでもあったりして。

キスくらいは、あのノリでされるかなぁなんて期待してたんだけど。

やっぱり普通のオッサンだった。

只、私は永田さんの胸ん中で頭を撫でられながらスヤスヤと眠っていただけ。

もっと、女オーラを出して誘うべきだったかなぁと、少しだけ悔しい気持ちもある。

でもでも、クリスマスは私が永田さんを独占しちゃった満足感もある。

別れた奥さんよりも、自分の子どもよりも、私の側に居てくれた事が嬉しくてたまらない。

終わった女は、もう用済みなのよん。

オホホのホーッ!(笑)

翌朝も早い時間帯から、会社のオフィスの作業が待っていた。

若い男の子たちと、私と永田さんの4人で出掛ける。

ところが驚いた事に、そこは私が元居た会社のオフィスがあるビルだった。

「ゲッ…、最悪。やだなぁ」

呟く私に、何も知らない永田さんは、

「ぼやくんじゃねぇ」

すかさず注意をされた。

もぉ、理由も知らないくせに…。

ビルの中に、色々な企業のオフィスが入っている。

階は違っても、一緒に働いていた人間たち、それからあのウザイ元彼に見られそうで、少しだけ気持ちが臆病になる。

…はぁ~っ…。

溜息が自然に何度も出ちゃう。

嫌だなぁ…次に良い事が有りますように…。





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