恋愛メンテナンス
ところでもって、可哀想な私。

深く深ーい、深手をおっても、懸命に茨の中で生きようとしている。

傷付いても、立ち上がり、独りで花を咲かせてる。

なのに、なのに…。

私だけが、恋も仕事も両立させながら頑張ってて…虚しい。

車に乗り込む時の、あの笑顔は何よ。

一瞬で、あんなに人に対して気持ちもコロッと変われるもんなの?

根っからの嫌の男。

女だから、若いから、未経験者だから、尚更人一倍、お仕事頑張ろうって思ってやって来たのに。

ここへ来て、挫折…。

明日は休む。

ってか、明後日も休んじゃおっと。

だって、居ても居なくてもいいアルバイトだもん。

頑張らなくていい…らしいしさぁ。

仕事場で、輝とタイマンで会いたくないのが1番の理由だけど。

私の行動をイチイチ観察されて、また何かムカツク事を言われたくないから。

うざったい…。

輝が上司じゃなきゃ、うまくいってたかなぁ。

せっかくのバレンタインのイベントは。

お互い他人のような振る舞いで、予定を立てる事もなく、当日を迎えてしまった。

14日の当日、私は休み。

輝もたぶん休みなんだけど、何も言ってこない。

私の予定では、バレンタインパーティーで、一泊で温泉旅館へと泊まろうかと思ったりしてたのに。

「お母さーん!風呂入るわーっ!」

と、実家の風呂へと入る。

13日の夜に、ふと振り返る。

輝が帰宅する前に、わざとアパートを出て。

とりあえずは用意しておいたチョコを、ポストボックスの中へと入れた。

『ポストボックスの中のチョコ、要らないからあげるわぁ』

そう皮肉ったメッセージカードを、扉に付いてるポストボックスに挟んでおいた。

私は泊まる先は、更に自由にワガママに過ごせる癒しの実家。

「いやはや愉快愉快~♪極楽じゃわ~い♪」

思ってもいない言葉を言わずには、やってられない。

意識してワガママな女を演じなきゃ、やり切れないよ…。

自然と出る涙は、湯船に消えていった。
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