恋愛メンテナンス
夜、食事を取った後。

早く帰って来てくれた輝に甘えてやんの。

「輝っ、輝っ!抱っこ、抱っこぉ」

「おうおう、ここ来い」

ソファーに腰掛けている輝は、膝を叩いて呼び付ける。

私は輝の膝に向かい合わせで股がって、首に巻き付いた。

「としこぉ…」

輝はしっかりと、いつかの時みたいに、私の腰に手を回す。

「輝ぁ…」

「としこぉ…幸せぇ?俺と結婚して、幸せぇ?」

「幸せだよぉ?もしかして輝の持病の心配症ってやつ?」

「おまえ無理しちゃう性格だから、毎日笑ってるその笑顔が、カラ笑顔だったらヤダかんなぁ~…」

「普通に楽しいから笑えてるんだけど」

「…なら、いっかぁ」

「私、不満だったらすぐ言うから。輝しかここでは頼れる人居ないから」

「おう、そうしてくれ…」

輝は私の頭を撫でる。

「よしよし…よしよし、としこぉ…」

そしてギュッと輝の胸の中に、私は隠れた。

「としこは子どもが嫌いだから産まないって理由だけど。俺も要らねぇな…だってさぁ、としこが俺をほっぽいて、子どもなんぞに構ってたら、俺たぶんメチャクチャ妬けちゃうからさぁ…」

輝ぁ…あんたは本当に可愛い奴だねぇ。

「ずっと2人で居ようなぁ」

「うんうん!子どもなんぞに、2人のラブラブ生活を邪魔されて、たーまーるーかぁー!というより、そんな迷惑な生き物、要らないしぃー!たぶん、殺しちゃうし★」

「こぉらぁっ…それ以上言ったら、ディープキスするぞぉ?」

しまった…また怒られた。

「いいかぁ、としこ?おまえの言いたい胸の内の事は、俺は理解してるんだから、そればっかでムキになった発言はNGだかんなぁ?」

輝は私の口唇に、人差し指を当てた。

「うん…ごめん。喋り過ぎた…」

「俺にとったらおまえは特別。だけど、世間からはおまえは、決して特別じゃないんだ。でもおまえと同じ気持ちの奴は絶対に他にも要る。おまえの意見は間違いではないけど、世間ではやっぱり通用はしないんだ」

「うん…分かってる…」

「口に出して掲げても、世の中はそう簡単には変わらない事くらいは、分かるだろ?でも、おまえが子どもを嫌いだから、産みたくない気持ちは悪い事ではない。だからとしこは、堂々と背筋を伸ばして、強く生きていけばいいんだよ。俺も側に居るし、俺はとしこの味方だよ。なぁ?」

「うん…そうします…」

輝と居ると、心がまた強くなる。

こうやって、言ってくれる男の人。

絶対に輝しか居ないから。

泣ける程、嬉しい。

「輝、愛してる…」

「俺もとしこを愛してるよ…」

見つめ合って、口唇を軽く何度も擦るようなキスをして、そのまま2人で横に倒れて、輝と私は身体を引っつけて、不自然に揺する。

お互いに無言のサインを送って、愛を確かめ合う。

「いい?…今しても…」

鼻息の荒い輝は、そう聞きながらも手元をゴソ付かせる。

「我慢出来てないくせにぃ…」

輝は野良犬みたいに、息を荒くして私の首筋に噛み付いた。

「頂きマース♪…」


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