妖精と彼女【完】
もともと装飾が多い部屋ではなかったけれど、特にしばらくの間は勉強ばかりで、ピリピリとした自分の部屋。
ふぅ……と、一息つくと、やっとそのピリピリ感が薄れた気がする。
机の上に大量に重なった参考書やノートを眺めると、何だか感慨深くなってくる。
机の前に移動して、一番上に乗っていた参考書を手に取って、パラパラとめくってみた。
開いたページはどれも、沢山の書き込みにあふれていて、紛れもない努力の結晶だった。
「………あたし、頑張ったんだなぁ…。」
呟いた瞬間、あたしの中での受験がやっと終わりを迎えられた気がした。
こうして、無事大学に合格できて。
やっと、自分の将来の足がかりが出来てきた気がする。
充足感と安堵で、自然に笑みが浮かんだのが自分でも分かる。
「春から大学生かぁ……」
大学も家から通えるから、生活環境は変わらない。
大学生になることで、どんな生活が始まるのかはまだ分からないけれど…。
きっと、あたしの未来が大きく動く『何か』があるだろうという予感がした。