妖精と彼女【完】
そっと…参考書を閉じて、夕食に出かける準備に取り掛かる。
クローゼットにバッグをしまっていることを思い出して、ベッドのすぐ近くのクローゼットに向かった。
「……ん?」
よくよく見ると、ベッドの下に何か本らしきものが落ちている。
ーーあたし、本なんてベッドの下に置いたっけ?落としたのかな…?
そう思ってベッドに近づく。
そして、ベッドの下に少し腕を伸ばしてその本を手にとった。
なんとなく見覚えのある表紙に、あたしは驚きの声をあげた。
「これって……」
あたしがベッドの下から拾い上げたのは、少年マンガ。
それは、今話題のサッカーマンガだった。
〜サッカー少年である主人公が、沢山の困難を乗り越え栄光をつかんだけれど、とあるきっかけで全てを失った。
それでも夢を諦めることが出来なくて、もう一度栄光をつかむまでを描いたストーリー〜
そんなあらすじをトウから聞いた記憶がある。
3巻くらいまでは、あたしも読ませてもらったけど…それから随分と時間がたっている。
表紙をよく見ると、「17巻」と書いてある。
「………よく、そんな続いたな」
そんな残念な感想が口をついて出た。