妖精と彼女【完】
今まで絶妙なところで、核心には触れずにやってきたのに。
ついに愛は踏み込んできた。
あたしの悩みごと、愛に正直に言うべきか。
黙っておくべきか……
あたしは迷っていた。
それにしても………姉弟で恋バナって、なんか恥ずかしいんだけど………。
弟に、「これって恋なのかな?」なんて聞くのもお姉ちゃんとして抵抗が……
内心、色んな気持ちでグルグルしているあたしの心中を目で察知するように、愛はジッとあたしの様子を見ている。
「………迷ってるんだ?」
「えっ」
「姉さんの中で迷いがあるし、それを俺に話すかどうかも迷ってるんでしょ?」
愛は変わらずあたしを見つめている。その目はまっすぐで、確信を持って聞いているんだろうと思う。
その目を見て、やっぱり愛には隠し事はできないと理解した。