妖精と彼女【完】
それから、次の日……。
どうやったのかわからないけど、トウはうちのお隣さん家の子どもとして、昔から存在していたかのように周り近所の人たちから扱われていた。
そしてよくわからないけど、あたしの同じ学年の高校生として生活している。
あたしたち姉弟とは違う学校に通ってる…らしい…。
実際、通ってる学校名を教えてくれないし、登下校している様子も見たことがない。
本格的に怪しい。
そして、幼馴染みだから…という(一般的には)自然な理由を武器に、お隣の家で隣り合ったベランダから、勝手にあたしの部屋のベランダから部屋に入り込んでくる……。
それも毎日。
それでも、誰も疑問に思わないらしい。
周りの大人には幻術とか、催眠術とかがかかっているのかもしれない。
「トウくんとは小さな頃から隣同士で、昔から一緒に遊んでたじゃない」って近所の人や、あたしの両親は言うけど……。
少なくとも、あたしには前日に初めて会った記憶しかない。
でも、両親はよく見知った様子で、時々トウを我が家の夕飯に誘ったりしている。
そうして、トウは「ごく自然」にあたしの日常へと入り込んできた。
だけど、その「ごく自然」に違和感を感じたのは、あたしだけじゃなかった。