妖精と彼女【完】
もともと、あたしはトウから「温泉の妖精」だとカミングアウトされたことを愛に言うつもりはなかった。
だけど……トウがお隣さんとして現れた日から、最初から愛は不思議そうな目でトウを見ていた。
そして、こう言った。
「……うまく言えないけど…トウくんは幽霊じゃないけど、人間の放つオーラとは違うものを持っている気がする。」
と、トウをじっと見つめながらつぶやいていた。
過去に出会った色んなものと重ね合わせて適切な表現を考えているのか、少し首を傾げる。
そして、あたしをまっすぐ見つめ、こう言った。
「それに……周りの人は昔から住んでるって言うけど……俺は初対面だよ。…どういうこと?」
「……!」