妖精と彼女【完】







「………?」





「ま、悠は高嶺の花ってことだよねぇー」





綺音は楽しそうに笑っていた。
そして一限目の教室に入り、綺音はあたしの肩を叩いてから自分の席に向かっていった。






あたしも席について、一人でさっきの会話について考えてみた。

恋愛かぁ……。







確かに、あたしはあんまり恋愛に興味がない。
というか、その………人を好きになるっていうことがよく分からない。









家族に対しての好きとか、友達に対しての好きとか、飛び出す刑事のヤマさんに対しての好きとか……
あたしにとっては、そこには違いはない。






彼氏がほしいって、周りの友達は皆言うけど…あたしはそんな風に思ったことがない。
綺音は、そんなあたしに「もったいないー!」って言うけどよく分からない。





いつか、恋がしたいって思えたり、特別な「好き」を感じるひとが、あたしにも現れるのかな……。





そんなことを考えながら、あたしは教室から青空を見上げた。











< 26 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop