妖精と彼女【完】
「………?」
「ま、悠は高嶺の花ってことだよねぇー」
綺音は楽しそうに笑っていた。
そして一限目の教室に入り、綺音はあたしの肩を叩いてから自分の席に向かっていった。
あたしも席について、一人でさっきの会話について考えてみた。
恋愛かぁ……。
確かに、あたしはあんまり恋愛に興味がない。
というか、その………人を好きになるっていうことがよく分からない。
家族に対しての好きとか、友達に対しての好きとか、飛び出す刑事のヤマさんに対しての好きとか……
あたしにとっては、そこには違いはない。
彼氏がほしいって、周りの友達は皆言うけど…あたしはそんな風に思ったことがない。
綺音は、そんなあたしに「もったいないー!」って言うけどよく分からない。
いつか、恋がしたいって思えたり、特別な「好き」を感じるひとが、あたしにも現れるのかな……。
そんなことを考えながら、あたしは教室から青空を見上げた。