妖精と彼女【完】
「そうかなー?……あ、そーいえば!うちのクラスの男子が愛のことスゴいイケメンって言ってたよ!」
愛のことが話題に登った話をすると、表情は変わらないものの、愛は目を大きく見開いた。
結構驚いている。
「………そうかな?ってか何で姉さんの友達が俺のこと知ってんの?」
「昨日ご飯食べに出かけた時に、あたしと歩いてる愛のこと見かけたんだって。」
「……そう。」
愛は気にする様子もなく、歩き続ける。
愛は自分のことを褒められてもあまり嬉しくなさそうだ。
「皆愛のこと褒めてたのにー、嬉しくないの?」
「褒められたって言っても外見だけだしね……」
あたしはクールな弟に感心しきりだった。
あたしのクラスの男子は、暇さえあれば前髪をいじってばっかなのに…!この子ってば……!
「やっぱり愛は偉いねぇー!うちのクラスの男子とは全然違うー!」
そう言うと、愛はあたしの方をチラリと一瞥して視線を元に戻した。
でも、あたしはそれに気づかなかった。
「……………それはどーも。」