妖精と彼女【完】
サプライズを何よりも大切にしている『飛び出す刑事(デカ)』の驚きの展開。
あたしはソファに寝転んでいた体制から、犯人のセリフを食い気味にしながら飛び起きた。
『飛び出す刑事(デカ)』には、毎回とんでもないサプライズがあると知っているのに、どうしても毎回驚いてしまう。
素晴らしい演出だ…。
崖での攻防を繰り返す様を食い入るように見ていると、背後から声がした。
「いやー、あの子がまさか犯人の娘だなんて、ビックリだねー!」
「そう!そうなの!」
背後から聞こえた声がまさに同意見だったから、振り返らず同意したものの……違和感に首をかしげる。
そして、その答えにはすぐ行き当たった。
「……なんで人の部屋にいるわけ?」
振り返った先には、よく見知った男の子があたしのベッドに我が物顔で座っていた。
「悠ちゃんに会いたかったから」
「……トウ…」
質問の返事になっていない返答に、呆れたあたしはため息をついた。