妖精と彼女【完】
家に帰ってすることはまず、手洗いうがい!
そして制服から着替えて、いつものお手伝い。
家の隣で営んでいる、女風呂の掃除。
……と言っても、することは沢山ある。
浴室やサウナの掃除、脱衣所、洗面台の掃除、マットやタオルの交換。
女風呂が終わったら番台と銭湯の入り口や玄関の掃除。
もう何年もやってるから慣れたものだけど、結構時間がかかる。
やることが多すぎて、マッタリやってたら開店に間に合わない。
昔はお母さんと一緒に分担しながらやっていたけど、あたしのスピードアップに伴って一人の仕事になった。
愛も昔はお父さんと分担してたけど、いつしか男風呂は愛の担当になった。
掃除が終わると、両親が入れ替わりで銭湯にやって来る。
二人で番台にいて、毎日店番をしている。
だから銭湯が開店する夕方から夜にかけては、いつも両親には家にいなかった。
まぁ、家の隣に併設する銭湯だから、そんな遠くに仕事に行ってるわけじゃないんだけど。
夕方から仕事をする両親のために、あたしたち姉弟は銭湯をお手伝いとして清掃している。
そして、夕方まで家にいる両親は、あたしたちの夕飯をちゃんと作ってから仕事に出る。
それが、我が家の日常。