妖精と彼女【完】
あたしの名前は、倉本 悠(くらもと ゆう)。
高校2年生。
男の子っぽい漢字だけど、れっきとした女子。
あたしの家は明治時代から続く、天然温泉の銭湯を営んでいる。
毎日、夕方の開店前にお手伝いで銭湯の清掃をするのがあたしの日課。
もちろん温泉が好きだし、清掃範囲は広いけど両親が楽できているのなら、毎日の清掃は苦にはならない。
そしてお手伝いが終わったら、その後は愛する刑事ドラマを見るのが楽しみ!
高校での生活も楽しいし、まったく問題ない毎日を過ごしてる。
だけど……あたしには、最近一つだけ悩みがある。
「………だからさ…、なんで勝手にひとの部屋に 入ってくんの?」
それは……この目の前にいる男の子。