妖精と彼女【完】
それから、夏休みが明けて。
久々にお昼時間に行われたガールズトークの時間。
机を囲みながら、皆で持参したお菓子を食べつつ繰り広げられる恋バナに、いつもあたしだけ話題に着いていけなかった。
でも、今回あたしは「恋」を知るべく、友達に恋とは何かと事細かに教えてもらおうと思った。
あの時の、友達のざわめきは忘れられない。
「え…恋って何?…って、なーんかソレ答える方が恥ずかしいんだけど〜」
「ええっ!?悠、あんなにモテるのに恋したことないの!?」
「いや…でも悠ちゃんてモテるけど告白されないもんね」
「絶対振られるって分かるから言えないんじゃない?」
なんか、ヒソヒソと会議されてる…。
あたしはその会議にもついていけず、その様子を見てため息をついた彩音が、かいつまんで説明してくれる。
「えーとね…実は、悠のことを好きな男子って結構いるんだよね。でも、悠がそういうの興味なさそうだから告白できないんだよねって皆言ってるの。」
「私のことを…?好き?」
そのリアクションを見て、皆呆れてるみたい。
でも、にわかに信じられなかった。
「それって、あたしと一緒にいたらドキドキしたり、…この人は自分のことどう思ってるんだろうって気になったり、もっと知りたいって思ったり。……そういう風に思ってるってこと……?」